供花

自宅で行われる葬儀に贈りたいお花のマナー

■近年の葬儀事情
かつては勤務先や取引先のお偉い方が亡くなれば、多くの参列者を集めて社葬が執り行われるのが当然でした。
勤務先の同僚や取引先の方、そのご家族などが亡くなった場合には、誰もが通夜や告別式に参列できる一般葬が行われ、仕事上関わりがあった方にとどまらず、その配偶者や父親、母親などの親族が亡くなったときまで、職場の代表などが有志一同で香典を持参することや会社名を入れた花輪やスタンド花を届けたものでした。
もっとも、近年では家族葬を選択するご家庭が増えており、大手企業のトップでさえ、家族葬を行い、香典などは一切受け取らないといったアナウンスがなされることも少なくありません。
これまでとはスタイルが異なってきた、ビジネス上のご不幸や知人のご不幸に際し、どのように対応していけば良いのでしょうか。

■家族葬や自宅葬でも届けたい気持ち
参列ができない、お香典は遠慮されたなどのご事情があっても、仕事上でお世話になった方の葬儀やこれからも良好な関係を築いていきたい方のご家族などが亡くなられた際には、やはり弔いの気持ちを伝えたいものです。
家族葬の葬儀場と開催日時が判明している場合には、祭壇に供えるスタンド花を、ご自宅での葬儀の場合には飾りやすい胡蝶蘭の鉢植え、わずかなスペースでも飾ることができる白バラや白ユリ、白菊などのアレンジメント、長く飾っておける白やブルー、紫などを基調とした枯れないプリザーブドフラワーをお贈りしましょう。
ネットや電話で手配すれば、当日のお届けが可能な場合もあります。
弔電も付けられるケースもあるので、弔いのメッセージやご遺族への気遣いの気持ちもしっかりと伝えることができます。

■あると嬉しいお花
近年の家族葬ブームで、かつてのような盛大な葬儀はタブーで、葬儀はできる限り、少人数でひっそりと行うのが良いといった強制的な観念が生まれつつあります。
みんながそうしているから、地味なほど良いと葬儀に必要なものを絞り込んだ結果、もっとしっかり故人を見送ってあげたかったと後悔される方も少なくありません。
そんなときも、親しくしていた方やお仕事関係者から届くお花があれば助けられるものです。
寂しい祭壇が花で美しく飾られ、棺の中にもたくさんのお花を納めることができるようになり、ご遺族の気持ちも安らぎます。

■自宅で行われる葬儀に贈るお花のマナーについて
自宅葬など小さなお葬式では、たくさんお花が届いたら迷惑では、大きなお花はまずいかな、いつ送ったら良いのかなど悩むことも多いのではないでしょうか。
一般葬であれば、参列する予定の方と相談し合いながらお送りすることや会社でまとめて花輪などや祭壇に飾る大きなスタンド花を贈りやすいです。
一般の方の参列をお断りする家族葬や自宅葬などの小さなお葬式にお花を贈りたい場合のマナーについて、以下で細かく確認していきましょう。

■送るお花の種類について
スタンドタイプは立派ではありますが、ご自宅によっては飾る場所がなく、かえってご迷惑になることがあります。
一度訪れたことがあり、大きなご自宅やお部屋があることがわかっているようなケースを除き、わずかなスペースでも飾りやすい胡蝶蘭の鉢植えやアレンジメントフラワーがおすすめです。
また、相手の宗教がわからない際には、洋花で送るのが無難です。

■贈るタイミング
葬儀場で行われる場合は葬儀案内のチラシや葬儀場に問い合わせることで確認でき、自宅葬の場合は葬儀会社がわかれば葬儀会社に連絡が取れますが、一般的には連絡が取れるのがご遺族となってしまいます。
悲しみが強い、葬儀に伴う手続きや弔問などで忙しいさなかではありますが、お悔やみのお気持ちを伝えるお電話を喪主やご遺族におかけしながら、お気持ちとしてお花を贈りたい旨を伝え、受け取れる日時を確認しましょう。
その際、供物の受付を辞退されれば、それに従うのが基本です。
通夜や告別式の日取りを確認できた場合、当日お持ちするのではなく、宅配便で送りたい場合や枕花として飾っていただく場合は、葬儀日程の前日までに届くようにします。

■金額の相場
気になる金額の相場ですが、法人の平均は1万円程度、個人の場合は特に相場はありません。
故人との関係性や自宅の広さに合わせて選ぶほか、中には他の友人や親族などと相談して贈るものや花の金額を決める場合もあります。
風習などもあるので地域の風習や親族間の慣習などに倣いましょう。

■お札について
葬儀に際して贈る花には、紙札を差して届けるのが基本です。
誰から届いた花か一目でわかるようにするためです。
その際は、故人様のお名前や喪主名などお届け先の名称は記載せず、「御供」といったお悔やみ文言+贈り主名を記載するようにしましょう。

■式に間に合わなかった場合
自宅葬や家族葬などはひっそりと行われることが多く、亡くなったことさえ知り合いなどに知らせず、後から伝え聞くことや葬儀後にご遺族から報告を受けることも少なくありません。
家族葬なので、香典などを辞退したいといった意味合いもあります。
ですが、大切な方の訃報に接すれば、お悔やみの気持ちを伝えたいものです。
後日の後飾りとして、アレンジメントフラワーや胡蝶蘭を贈って差し上げても問題はありません。
ただし、弔電は葬儀に間に合わせて贈るのがマナーであるため、弔電は付けないようにしましょう。