祝い花供花

難しいお花のマナー|前任者が亡くなった時の就任祝いはどうする?

■前任者が亡くなった際の就任祝いのマナー
取引先などから新しい社長就任の連絡を受けた場合、一般的にはお祝いのお花を贈る手配をすることになるでしょう。
ただ、ここでとても難しいのが、前任者が亡くなった場合です。
この時、御祝と供花どちらで贈るべきかは、誰も教えてくれないお花のマナーになります。
基本的にはどのような対応をすべきか自社内できちんと検討し、経営者の判断をもって対応することが大切です。
考え方としては、「亡くなられた前任者の方」に宛ててお花を贈る際にはお供え=供花となります。
そして、「新しく経営者に就任される方」に宛ててお花を贈る際には、「新しい経営が始まる」ことに対して御祝のお花を贈ることになります。
自社がその取引先とどのような関係にあるか、どれくらいの付き合いで、経営者同士がどれくらいの親密度なのかによっても判断は異なるでしょう。
まずは、お花を贈る相手が前任者なのか、それとも新任者なのかから判断することが大切です。

■どうしても気になる場合には
経営者でも判断のつかない場合、一定の配慮をしたうえで御祝のお花を手配するのが良いでしょう。
日本は風習上1年間が「喪」の期間になりますが、原則として法人そのものには喪は存在しません。
ただ、もし前任者と新任者が親族関係にあるような場合には、まさに新任者本人が個人的に喪に当たるという場合もあるでしょう。
そうでなくても、両者がどれほど親密な間柄かなど、外部からでは計り知れないのも事実です。
こうしたことも含め、文言は赤字で「贈」とだけ記載し、「祝」の文字は避けるのが無難です。
もちろん、通常のお札の文言どおり「御祝」関連としても失礼なわけではありませんが、ラッピングは赤や金色など派手な色は避けましょう。
淡いピンクや黄色のラッピングの他、白の包装紙に色の付いたリボンなどを組み合わせると、派手さを抑えたうえで新任をお祝いする花にすることが可能です。
基本的に祝電などは不要で、大々的にお祝いするような行動やイメージは避けるようにしましょう。

■お札について
特に自宅ではなく会社の住所宛で送る場合は、誰から届いたお花かがわかるよう、お札を付けましょう。
この場合、「祝御就任」として贈る場合は、宛名(新しく就任される方)+文言(祝御就任もしくは御祝)+送り主名となります。
「贈」として贈る場合は、宛名(新しく就任される方)+文言( 贈 )+送り主名となります。
いずれが良い・悪い、正しい・誤りというものではありません。

■挨拶状への返信はどうするか
先方が社長の逝去と新社長就任の挨拶を一つにまとめている以上、お悔やみと就任のお祝いも一つにまとめても失礼にあたるとは言えません。
文例が見当たらないため悩むのはごもっともですが、先方の報せが同時ですので、返信も一緒の内容で良いでしょう。
報せをいただいたことに御礼を述べ、急逝された前任者に生前の御礼とお悔やみを申し上げ、同時に新社長のもと、先方がさらなる発展を遂げることをお祈りする内容にするのがおすすめです。
先にも触れたとおり、原則として「法人」には喪という考えがありませんが、そこに関わる人的には喪中と考えるのが妥当です。
ただし、先方の会社の規模によってはこうした配慮も必要なく、ドラスティックな対応でかまわない場合も少なくありません。
あくまで法人として会社組織の変更を実施したような場合には、あまり気を遣いすぎることなく、これから始まる新しい組織の発展に期待する内容でも失礼ではないでしょう。
反対に、とても小規模な会社組織の場合、全員が親族や深い間柄であることも珍しくありません。
そうした場合はお祝いを贈ること自体、控えたほうが良い場合もあります。
自社との間柄にもよりますが、どうしても気になる場合は郵送で返信すると同時に電話などできちんと先方に確認し、相手側からお祝いは不要という意向があった場合は従うようにしましょう。

■贈るお花はどうすべきか
一般的に社長就任のお祝いに選ばれるのは胡蝶蘭です。
胡蝶蘭の花言葉は「幸運が飛んでくる」で、白色の3本立てや5本立ての2万~3万円程度の価格帯が最も多く選ばれやすいです。
もしほかにも複数人が新しいポストに就任されるようであれば、それぞれ個別でお贈りするのがマナーとなります。
同じ宛先でも、祝いのお花はまとめないようにしてください。
会社ではなくご自宅に贈るような場合は、なるべくコンパクトなサイズがおすすめです。
贈るタイミングは就任式がある場合は当日に贈るのが一般的であり、もし持参する場合は就任式の受付にお渡しします。
配送の場合は、式の前日か当日の午前中に現地に到着するよう手配しましょう。
ただし、今回のように前任者が亡くなったような場合は、あまり華々しい式典は行われないことも多いです。
式がない場合は就任後1週間以内に贈るのが理想となります。
また、お花以外にも贈答品を贈る場合、関係が「切れる」ことを連想する刃物などでなければ、基本的に何を贈ってもかまいません。
もちろん、相手の嗜好がわかっていれば、関連するアイテムがベストでしょう。
ただし、「勤勉であれ」といった叱咤激励の意味があるボールペンや万年筆、腕時計や鞄などは失礼にあたります。